絶対BLチルドレン
ドラマ「絶対にBLになる世界VS絶対にBLになりたくない男」を見た。
漫画の方は、ツイッターで流れてきた宣伝をちょっと見た程度だが、ドラマの方は特撮その他で見知った俳優が多々含まれていたので気になった。
見た感想としては「よくできたメタフィクション」
漫画の方は、BLあるあるをうまくネタにしておもしろおかしくメタネタとして消化したギャグなのだろうと思われる。
主人公含む登場人物は「BL漫画」の世界のキャラクターとして存在していて、そのことに主人公だけが気づいている、という設定。
そして、「絶対にBLになる世界」のなかで、気づいている主人公だけがそれに抗おうと果敢に戦っている。
ドラマでは、その主人公を犬飼貴丈が演じている。
その他、出てくるキャラを演じる役者は、いわゆる「若手俳優」として括られる、特撮俳優及び、2.5次元俳優が大多数を占めている。
おそらく、昨今の若手俳優はBLというものがどういうものであるか、自分たちが「腐っ萌え」という視点で「消費」されていることは自覚していると思われる。
自分たちが好む、好まざるに関わらず、自分たちはいわゆる腐女子たちの妄想の中で、BL世界のキャラとして存在している。
そこで、メタの多重レイヤー化が生じる。
当該漫画のキャラクターが「BL漫画の世界のキャラクター」として設定されている上で、それを演じる役者たちも「BL世界の住人」として存在している。
主人公が望まなくとも世界が彼にBL漫画のキャラであることを望まれる、最後には陥落するように、役者たちも自分たちへに外部の人間に何かを期待される世界の中で生きている。
そこが痛烈な皮肉だと思った。
掃いて捨てるほどいる「若手俳優」の中で固定ファンをキープして、次の仕事にありつくためにはファンに媚びることも必要で、腐女子のウケを狙って「腐営業」をしないといけないことも多々あるだろう。
それを拒むことも可能だが、彼らを取り巻く環境の中で下手に反発すると、市場からはじき出されてしまう。
自分の我を通せるレベルの役者になるまでは、望まない「役」もやっていかなねばならない。
それを受け入れないといけない若手俳優たちの悲喜こもごもも当然あるのだろうが、「世界」の中で「キャラ」として生きていく覚悟を決めた彼らの今後の活躍を期待したい。