「オメガ・メガエラ」の感想とかレビューとか
世の中には先のDMMの70%オフセールの恩恵に預かれた心の清らかな人と、そうでない人です。
私は前者でしたので、それまでFANZAでの購入履歴がなかったことをとてもありがたく思いました。
今回、最大100冊も70%オフで買えるということで普段読まないような作品にもチャレンジしてみようと思いました。
それでカートに入れたのが丸木戸マキ先生の「オメガ・メガエラ」です。
タイトル通り、オメガバース設定の作品です。
ぶっちゃけ、自分はBLは好きですがオメガバースが好きではありません。
被差別階級のオメガが「運命の番」となるアルファとめぐりあい、結ばれたら幸せになるというご都合主義な設定がどうにも気に食わなくて避けて通ってまいりました。
しかし、この作品の主人公は不妊のオメガです。財閥の後継者という運命の番と巡り会えたのに、アルファの子どころか、オメガの子すら産めなかったので第三夫人にまで落とされて、子供を持つ第一夫人(女のΩ)や第二夫人(男のΩ)に蔑まされて日陰者の生活をしております。
ところでこの作品の舞台は日本なのですが、財閥解体されておらず、普通に重婚が認められているような謎設定です。そして50万円が大金の時代です。
20年前ぐらいの昼ドラによくあったような明治~大正にかけての上流階級モノみたいな世界観です。
そういった、身分制度が当たり前の世界にオメガバースの設定がジャストマッチしております。
さて主人公ですが、彼の実家は製薬メーカーで裕福な身の上、オメガでありながら高等教育を受け、医師免許を持ち、薬学の知識も持つとても優秀な青年です。
オメガバース世界につきものの「抑制剤」も彼がプロジェクトの中心として開発しましたが、国の方針で禁止されることとなり、今では密輸等で入手しても厳しい罰をうけます。
権力をアルファに独占されている世界なので、子供を生む道具としてのオメガに自分で発情をコントロールされるようになっては困るということでしょう。
それでも家柄が良かったからか財閥の御曹司の嫁として迎えられ、その相手を「運命の番」として溺愛しております。
しかし、その旦那となった御曹司が、アルファであることと顔がいいこと以外取り柄がないような男で、家の実権は彼の父親に握られていて、父親に逆らうことはできません。
ぶっちゃけ、子供ができないと蔑まれるぐらいなら実家に帰ったほうが良さそうなものですが、実家は主人公の妹(アルファ)がついでおり、オメガなのに薬学の才能があった兄と、アルファなのに開発能力のない妹との確執があります。ついでに、兄が開発した薬品を自分の名義で登録して、それがないと実家もたち行かない有様です。
さて、主人公の旦那の父親が当たり前のように嫁に手を出す悪いジジイなのですが、「旧華族の娘を孕ませてできた子供がいるはずだから、その子を見つけて連れてきたらお前らの養子として家を継がせてやる」と言い出します。ただし、その子がアルファであること前提です。
主人公の旦那には第一夫人との間にアルファの女、アルファの男、第二夫人との間に
オメガの女、オメガの男がいるのですが、義理の父は、アルファの女には家を継がせたくないと主張します。アルファでも男と女では格差があります。
そしてアルファの弟の方はグレてしまって素行の悪い奴らと仲が良いという理由で跡目争いから外されてしまっています。
それで、他所で作った自分の息子を孫として継承させたいと言うわけです。
主人公は気が進みませんが、その子に会いに行きます。
しかし、その子はアルファではなくオメガでした。
諦めて帰ろうと思いましたが、その子には首にあるはずのオメガの焼印がありません。不義の子だったがため戸籍に登録されておらず焼印を打たれていないそうです。
ちなみに、他の作品だと第二次性徴までわからないという設定が多いようですが、この世界ではオメガは出生時検診で判明するそうです。
それで主人公はその子をアルファと偽って連れて変えることにします。
バレたらどうする?と問われますが、主人公は切り札に自分だけが開発できる「抑制剤」を持っています。
母親と自分を捨てた父親に対する復讐心もあり、利害が一致して、主人公は義理の父の隠し子と共謀することになります。
義理の父の若い頃によく似ており、聡明な少年を義理の父はとても気に入り、うまく騙せたように思えますが、まず最初に執事にバレてしまいます。彼も義理の父が使用人に手を出して産ませた子で、同じくこの家に思うところがあります。
それで主人公たちに協力してくれることになります。この男が、いわゆる間男ポジションです。
そんな感じで、昼ドラみたいなドロドロの愛憎劇が展開されていきます。そして「あー、はいはい。定番のやつね」とか思ったら、次々と予想の斜め上の衝撃の展開が待ち構えています。
それがとても面白いです。
オメガバースの設定を踏まえた上で、お約束を逆手に取った物語になっているので、どちらかというとオメガバース作品が好きな人よりも、そうでない人のほうが面白く感じるかもしれません。
私は後者としてとても楽しみました。